【太る原因はインシュリンにあった!戻る

(1)インシュリンの働き

インシュリンは血糖の上昇を防ぐホルモンで膵臓のランゲルハンス氏島(β細胞)で作られて分泌されます。

食事を摂ると血糖値が上昇しますがインシュリンはその血糖(グルコース)を肝臓や筋肉にグリコ ーゲンとして蓄え、蓄えきれない分を脂肪細胞にトリグリセリドとして備蓄します。

同時に既に蓄えてあるグリコーゲンやトリグリセリドの分解を抑制します。

肥満者はこのインシュリンの働きが鈍く、常に多量のインシュリンを分泌している状態(インシュリン抵抗性)なので効率よくエネルギーを放出できなくなっています。

通常なら少量のインシュリンで食事で上昇した血糖値を下げることができますがインシュリン抵抗性の場合には正常なインシュリン量では反応しなくなるのです。インシュリン抵抗性が続くと 糖尿病を発症し(インシュリン非依存性の2型糖尿病)、更に進行すると膵臓に過剰な負担が掛かり、ついにはインシュリンの分泌が極端に少なくなって必要なインシュリンを外部から注射しなくてはならなくなるインシュリン依存症に発展してしまいます。

しかしインシュリン注射では膵臓から自動調節で分泌される様に適正な時に正確な量のインシュリンを供給することができない為、コレステロールの異常値が出る場合もあります。

(2)インシュリンの分泌を抑える低GI食

インシュリンの過剰分泌を制御する為には前述の運動習慣づくりが勧められますが、血糖値の上げ過ぎを抑えることでもインシュリンの分泌を抑えることができます。

その方法は食事法にあり、急激な血糖の上昇を伴うことなくゆっくりと吸収してくれる食材を選ぶことです。その鍵となるのが炭水化物(糖質・澱粉)で種類によって吸収率が異なり、それに伴う血糖値の上昇スピードも異なります。

つまり血糖の上昇スピードが速くインシュリンを多量分泌させる炭水化物(高グリセミック)と血糖が徐々にゆっくりと上昇することでインシュリンも少量づつ分泌させる炭水化物(低グリセミック)を使い分けることです。

炭水化物がグルコースとして血糖値を上昇させるスピードを測定して数値化した指数をグリセミック・インデックス(GI)と呼びグルコースを100として基準にした数値と食パン(精製白パン)を100として基準にした数値がそれぞれ一覧表として出されています。

しかしその数値は欧米で調べられたもので日本の食生活にはそぐいません。そこで糖質含有量に差がある食材を欧米で出されたGI値に添ってカテゴリー分けし、それぞれの主な食材を20名の被験者に振り分けました。各被験者には予め空腹時にブドウ糖100g(或いは50g)を摂取させ、15分〜120分後の血糖上昇率を測定しておきました。

そして別の日の空腹時にそれぞれに食材を与えて摂取させ、同様に血糖上昇率を測定し、予め測定したブドウ糖との面積(基準値〜上昇〜基準値)と上昇率(上昇角度)とを比較しました(GI値)。
GI値が高い程血糖値の上昇が高い為にそれに伴うインシュリン量も高くなりますが、血糖の上昇スピードは速くてもその食材に含まれる糖質の量によってその上限がある、つまり含有される糖質の量が少なければ過剰に上昇することはありません。

従ってGI値が高くてもその摂取量を少なくすることで血糖値の上昇を抑えられます、そして少なくした分は他のGI値が低い食材で補充することによって食材の全体量は減らさなくて済みます。また反対にGI値が低くてもその摂取量が多ければ血糖値の上昇に反映することになります。

食材によってGI値のバラツキはありますが、GI値が特段に高い食材(糖質含有量が多い食材)は概ね決まっていて、それらを制限するだけで簡単に低GI食ができます。

いざダイエットを始めても今の食生活や生き方を180°変えるような方法では続きませんし、ストレスが貯まったあげくのリバウンドでは結果的に何の意味もありません。

低インシュリンダイエットは生活習慣病予防と改善(運動療法など)から出た発想です、生活習慣病にはインシュリン抵抗性(細胞への取り込みが低下している為に初期にはインシュリンの過剰分泌に至る)を伴う疾患が多く、肥満は特にインシュリン抵抗性を誘発します。このインシュリン抵抗性を改善する為には運動療法が有効ですが、重篤な症状の場合や高度の肥満者は運動禁忌となります。

また、一般的に肥満者は身体を動かすことが困難で有効な運動の前に膝や腰を痛めやすいのです。本当に改善が必要な方々の改善法が難しかったり、無理してまでも運動をして身体を壊したり逆に運動嫌いになるなら運動以外の改善法を選べば良いのです(もちろん積極的に運動ができる人には大いに運動を勧めます)。
運動は週に2回、食事は1日3回として週に21回、つまり1:10の割合です。如何に食事法の改善が大切かが分かります。そこで今まではカロリー制限によって食事量を減らし、血糖値が上昇しないようにしました、血糖値の上昇が抑えられればインシュリンの分泌量も減るのです。

しかしこの方法では余りに辛いし長続きはしません、病に悩んでいる方々には特に二重の苦労です。でも食事量を減らさないで(食事量は今までと同じで)血糖値を急上昇させない食事、つまりインシュリンの分泌量を穏やかにする食事に変えれば辛くないし、何でも食べられます。但し、何でも好きなだけ無制限に食べて良いのではありません、誤解しないで下さい。

その方法がGI値を使う方法です、GI値は糖尿病の食事療法として80年代にカナダで研究が始まり、今では日本も含め、各国で研究されています。
しかし、GI値の研究者によるバラツキが多く、一定しないのが現状です、それは被験者の人種・性別・体格・習慣や季節や時間帯によっても異なるからです。

私はそのGI値の測定についてバラツキを防ぐためにできる限り少人数の被験者(1人の被験者に多くの負担を掛ける事になりますが…)で、そして各食品を100g単位で摂取後の血液検査を実施しました。

結局400品目を超えるGI値を算出してそれを元に実験をしました、その結果低GI値の食事に代えただけで血糖値が下がり、体重が減り始めました。

低GI食を食べ続けることは一時的なダイエット法ではなく、生涯にわたる健康食と考えて下さい。主食も日本人が本来食べていた無精製な玄米や全粒粉の食材が中心です。健康的に生きる為にも、アレルギーを防ぐ為にも是非始めて頂きたい食事法です。


低インシュリンダイエットって?
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GI値って?
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